マクロ視点で株価の変動をチェック
株価の変動について、「企業の状況」・「業界の現状」といったその企業について個別的に存在する要因の他に、より大きな視点からの影響が変動させる場合もあります。このような市場や世界の経済に関わるような要因を判断する視点のことを「マクロ(巨視的)視点」と言います。
ここでは、このマクロ要因について解説していきます。
国の景気が悪いと一企業の経営努力だけでは限界があることも
海外の株式を購入する際には、その国の様子がわからないのでこのようなマクロ視点の判断を様々なニュースから集める必要があります。
企業がどれだけ頑張っていても、その国自体の景気が思わしくない場合、企業の基礎的な経済状態や設備・労働力がどれほど整っていても営業利益に結びつかないことがあります。特に非製造業の場合には輸出することができないため、その国の景気状況をそのまま受けてしまう場合が少なくありません。
不況は永遠には続かない。好景気で株価もアップ!?
したがって、不況下では実際にはよりポテンシャルの大きい企業の株価が伸び悩んでしまうことが良くあります。しかし、景気は一定周期で循環するものですから、本来能力のある企業であれば好況時に株価が一気に伸び上がることもあります。
投資する側から見れば、不況は株式を安く手に入れるチャンスでもあるのです。
不況が続くと倒産リスクも考えておこう
ただし、不況が長ければ、投資を回収する前に企業が倒産してしまうリスクもありますので、企業のキャッシュフローについては注意が必要になります。逆に好景気の時にはそのリスクは小さくなりますが、その分既に株価はあがっていますので、安価で購入することは難しくなります。
国内について考えれば、財政政策や金融政策の影響も考えるべきでしょう。
株式市場と実際の経済はイコールではない
株式市場に流れるお金は、実際の物を買うお金とは別の動きをしていると考えることが出来ます。
利益を得たい場合、株式投資に回す方が儲かるならば株式市場にお金を使うでしょうし、設備投資を行って、生産を増やすための物を買ったほうが儲かるならばそうするのが当然です。
この時、株式市場に流れ込むお金の量が大きいほど株価は上がりますし、設備投資の量が増えればそれだけ株式市場は活気を失います。この資金の量は利子によって決定します。利子が小さければ設備投資はしやすくなるからです。
したがって、その国の政策と資金の流れを考えることが重要になります。
海外市場、特に途上国では起こるうるリスク
日本ではなかなか想像することは難しいような状況が起こりうる場合もあります。特に途上国では大きな政局の変化が容易に起こりうる環境が存在していることに理解が無いと、思わぬ怪我を負うことになりえません。
例えば、ヨーロッパの場合、基本的には陸繋ぎですのでどこかで戦争が起きた場合は近隣の諸国は直接その影響を受ける場合があります。日本は海に囲まれていますので近隣の有事にもあまり影響を受けません。そのため、なかなか想像し難しいかもしれませんが、一つの種が連鎖的に被害を広げる場合もあるのです。
クーデターも起こり得ます。
さらに、合法的な政権交代ではなくクーデターによる改革などが起こった場合、元々の国のシステムが180度変わってしまうこともあります。東南アジアや南米、アフリカでは常に想定する必要があるでしょう。
このような政局変化はその地域の歴史や民族の構成・宗教が大きな要因になることがほとんどですので、企業情報のみならず、国の状況も理解し、それがどのような変化をしてきたかを考える必要があります。
また、その国の社会システムについて、近隣地域の国も含めて経済的・軍事的の両面でどの程度安定的なのかを知っておくことも資産を守り増やすためには大切な情報となるのです。