業績が上がれば、株価も上がる
企業の業績と株価は綿密な関係にあります。会社の業績が好調であればその分株主への分配が増加します。株主への分配とは株式配当だけでなく、会社が利益を留保するだけでも将来的な配当原資や、それによる企業業績の向上なども含まれます。
PER(株価収益率)を学ぼう
みなさんは株式投資をする上で重要な「PER」という言葉を知っていますか?
別名「株価収益率」というのですが、ちょっと難しいですよね。ここではPERについて、できるだけ簡単に説明してみます。
PERを理解するための参考例
例えばA社が毎年300万円の利益をあげているとします。総発行済み株式総数は100株とします。
利益/年 | 300万円 |
---|---|
株式総数 | 100株 |
上記の場合、A社の1株あたりの利益は3万円(300万円÷100株)と計算することができます。
つまり、毎年3万円ずつ株主に対して利益を与えてくれるということになるのです。A社の株価が仮に100万円だとすると、年間の収益は3%ということになります。
この逆数が、株価の割高・割安を判断する代表的な株価指標「PER(株価収益率)」といいます。
仮にこの会社の業績がアップして2倍の業績となったとしましょう。
そうすると毎年の利益は600万円になり、1株当たりの利益は6万円になります。
こうなってくると年間の収益率は6%にもなりますので、他の金融商品を持つ投資家がこぞってこの会社の株式を買います。
結果、株価が上昇するのです。
PERとは回収速度を示す指標
この例からも分かるように、PERとは投資資金の回収速度を示す指標です。PERの倍率が低いほどその会社の株価は割安になり、逆にPERの倍率が高いほどその会社の株価は割高ということになります。
これを「株式益利回り」と言います。
株式益利回り(かぶしきえきりまわり)とは、PERの逆数で現在の株価に対してどの程度の収益率で利益をあげているのかというものです。他の収益性のある投資や運用と株式投資を比較する場合などに用いる指標です。
企業業績が株価に対して非常に大きなインパクトをもたらすことはお分かりいただけましたか?
会社の株価というものは企業業績のどこを見ているのでしょうか。
答えは“将来の企業業績”です。
現在(去年)の業績が好調なら、現在の株価水準に対して一定の影響力は持ちます。しかし、将来どのようになるかは分かりませんから、一般的に将来の業績の方が重視されます。そもそも株価というものは先を見るものですからね。
例えば、去年は2億円の利益をあげたのに、今年は利益5000万円、来年は2000万円の赤字が出ると予想される会社と、今年は赤字だったけれど、新製品が大当たりして来年の利益は3000万円、再来年は1億円の利益がでると予想される会社、あなたはどちらに魅力を感じますか?
もちろん未来に利益が見込まれる会社に魅力を感じるでしょう。
このように株価は基本的に、将来の企業業績に対して大きな影響を受けるのです。
投資は現在ではなく未来に向けてするもの
投資をする際は現状優良企業だからではなく、現在は現状が厳しくても将来黒字になりそうな会社や、現在から将来的にかけて安定した利益を出すと予想される会社に投資することが重要です。特に、今は赤字でも将来黒字になりそうという会社は株価に大きなインパクトを与えます。そういう会社の株価は、今は低迷していますが、それが黒字となった時に大きくプラス方向に動く可能性があります。
株価というものは将来にわたって企業があげる利益によって決定されると考えた場合、PERは株価を決める最も合理的な指標の一つとなります。株式投資初心者の方は、これから色々な分析を勉強することになるかと思いますが、このPERという指標は、早い段階で勉強されると良いと思いますよ。