現金ベースで割安かを判断!PCFR
PCFRは株価キャッシュフロー倍率のことを言い、株価が割安かどうかを判断する際に参考にする指標の一つです。
このPCFRはPERを改良した指数で、PERを補完するものです。
PCFRは株価を、1株あたりの純利益と減価償却費を足したもので割って計算します。
PERは株価÷1株あたり純利益で出すのと比べると、PCFRは、営業活動後に手元に残った現金を元に計算した割安度ということになります。
1株当たりのキャッシュフローが分かる
このPCFRは、1株当たりのキャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)の何倍まで株価が買われているかということを示しています。
ちなみにキャッシュフローですが、減価償却方法の異なる企業の収益力を比較可能にし、企業の現金を生み出す力を表す数値のことを言います。
簡単に言うと、現金と現金同等物、つまりお金の流れを言います。
上に「キャッシュフロー(税引き後利益+減価償却費)」と書いてありますが、お金の流れを表しているはずなのに、どうして減価償却費が加算されているのか不思議に思う方もいるでしょう。
減価償却費は例えばパソコン、はたまたビルなどを買った際、それを一度に費用計上せず、年数に応じて小分けして計上します。
このように小分けして計上した減価償却費は、実際に現金の出費があったわけではなく、あくまで帳簿上の出費ということになります。そのため、キャッシュフローでは税引き後利益に減価償却費を計上するのです。
さて、このPCFRはキャッシュフローを考慮した指標です。キャッシュフローを考慮して割安度を判定すると、利益と違って設備投資に伴う減価償却費を考慮に入れた上で株価の割安度を判断できるのです。PCFRが高ければ割高、低ければ割安となります。業種にもよりますが、一般的に20~30倍が標準的で、10倍以下が割安という判断をするそうです。また、投資判断を行なう場合は同業他社や業種平均のPCFR、その銘柄の過去のPCFR、市場全体のPCFRなどと比較することもあります。
なお、このPCFRは欧米の投資家がよく使う指標とのことです。PERとPBRは日本では非常にメジャーな指標ですが、最近ではこのPCFRも徐々に注目されています。
■PCFRの計算式
PCFR=株価÷1株あたりキャッシュフロー
で算出されます。
■1株あたりキャッシュフロー
1株あたりキャッシュフロー=キャッシュフロー÷発行済み株式総数
で算出されます。
また国により減価償却のしかたが違う場合には、当期利益での比較でなく、減価償却をすでに考慮に入れたキャッシュフローによる比較を用います。
設備投資をするとPCFRが低下するが・・・
何度も書いているとおり、キャッシュフローは税引き後利益に減価償却費を加えたものなので、設備投資を行なうとキャッシュフローは増加します。そのためPCFRの値が低くなります。
しかし、設備投資を活発に行っているということは、今後の企業の成長が期待できるということでもあります。このことから、PCFRは企業の成長性が織り込まれている指標であると言えます。
また、キャッシュフローを利用することで、利益だけの比較よりもより正確に企業の割安度を測ることができるのがこのPCFRの利点です。ただ、一つ注意しなければならない点があります。
PCFRがマイナスになると・・・
PCFRが低い=割安と言えますが、PCFRがマイナスになった場合は危険です。営業キャッシュフローがマイナス、ということになりますので、資金繰りに四苦八苦する危険な経営状態と言えます。
ですので、キャッシュフローがマイナスの場合は投資しない方が賢明です。
PCFRは優れた指標ですが、これのみで投資判断せず、PER、PBR等の他の指標と組み合わせて使用するのが良いでしょう。単独で投資判断に使うのではなく、PERなど他の指標と併用することが必要です。