株式投資には大きく株価変動リスクと倒産リスク、流動性リスクの3つのリスクがあります。こうしたリスクに適切に対処していくことが株式投資を成功させるためには欠かせません。今回は株式投資の3つのリスクとその対処法についてご紹介します。
株式投資の3つのリスク
株式投資には、株価変動リスクと倒産リスク、流動性リスクの3つがあります。それぞれどのようなリスクで、どうした点に気を付ければ良いのでしょうか?
株価変動リスク
株式投資のリスクの1つめは、株価変動リスクと呼ばれるリスクです。
株式は株を買いたい人と、株と売りたい人との希望価格で株価が決定されるため、常に変動しています。
株価は、株式を発行している企業の業績や経済状況に左右されますが、それとは別に投資家心理の影響も受けるため、どんなに株式投資に習熟した人でも完全に読むことは不可能です。株を購入した次の瞬間から、株価は上がる可能性も、下がる可能性も持っているのです。
元本割れリスク
株式投資は元本割れリスクのある金融商品です。
例えば、50万円の株を購入後、株価が上昇して60万円で売却することができれば10万円の利益となりますが、同じく50万円の株を購入した後株価が下降してしまい、40万円で売却することになれば10万円の損失となります。
このように投資した元本(50万円)がまるまる返ってこないリスクが元本割れリスクです。
元本割れリスクのない金融商品としては定期預金などがありますが、現在ではあまりに金利が低く、お金を増やすという目的としては適しません。
他に、元本割れリスクの低い国債等の金融商品もありますが、そうした商品と比べると株式投資は比較的リスクが高く、その代わり多くのリターンを得られる可能性があります。
倒産リスク
株式投資には、投資先企業の経営不振や不祥事などにより倒産してしまうリスクがあります。倒産してしまうと購入した株は無価値となってしまいます。
しかし、一般の人が購入する株式は上場企業の株式です。上場企業の場合、上場自体に厳しい基準が設けられている他、実際に倒産する前には様々な兆候が見られるものです。
上場廃止リスク
上場企業には倒産リスクと並んで、上場廃止というリスクもあります。
TOB(株式公開買い付け)やMBO(経営陣による自社買収)等により買収される場合や子会社化される場合に上場廃止されますが、上場廃止では廃止前に売買期間が設けられる他、場合によっては再上場することもあります。
流動性リスク
株式の流通は株を買いたい人と株を売りたい人がいて始めて成り立つもので、有名企業の場合多くの取引が見られるため軽視しがちですが、上場している企業の中でも株式の取引量が少ないため「売りたい時に売れない」「買いたいのに買えない」という状態になってしまいます。
取引量の少ない企業
株式の取引量の少ない企業は、「売りたい時に売れない」「買いたい時に買えない」リスクがあり、例え経済や企業の業績が良くなっても株式の取引量が少なければ提示した価格で売買することができず、うまく利益を得られない可能性があります。
こうしたリスクがあることから、投資先を決める際には一定の取引量があるかどうか調べておくことが大切です。
リスク対処法
3つの株式投資のリスクを把握したら、それぞれのリスクに対する対処法を考えていきましょう。
株価変動リスクに対する対処法
株価は、購入した瞬間から上下を繰り返していきます。
株価変動リスクに対する対処法は、できるだけ多く上昇する株式を所有し、下降する株式の所有をできるだけ少なくする必要があります。
これは、発行元企業の業績や業界動向、経済の流れを把握することで多少予測することは可能です。しかし、前述したように株式投資には投資家の思惑が介入するため完全に把握することは不可能です。
例えば、例え企業の業績が抜群に良く、前期から数十%の成長を成し遂げた企業が業績発表を行ったとしても、その業績の好調がすでに株価に織り込まれている場合には株価の上昇につながらないことがあります。
こうした、予測の難しい株価変動に対して有効な方法の1つが、「買値の○%以上株価が下落したら売却する」等のルールを設けて、そのルールを忠実に守る方法です。
ルールを設けることで「できるだけ多く上昇する株式を所有し、下降する株式の所有をできるだけ少なくする」ことを目指すのです。
株式投資は有限責任
株式投資は、株価変動リスクや元本割れリスクがあるとはいえ、有限責任、つまり投資した額以上の損失を負うことはありません。
しかし、株式投資には現物取引と信用取引という制度があり、この内信用取引で投資をした場合には投資額以上の損失を負ってしまう可能性があることに注意が必要です。
信用取引は株式購入に必要な資金を証券会社から借りて売買を行う取引で、証券会社に預けた資金を担保に、預けた資金以上の投資が可能になります。
例えば50万円預けて、150万円の株式取引をすることが可能になりますが、150万円分の株式の株価が3分の2の100万円になってしまえば資産は0になってしまい、3分の1の50万円になってしまえば50万円の負債を負うことになってしまいます。
50万円程度であればまだ取り返しがつきますが、これがもっと大きな金額を預けて、信用取引を行うようになってしまうと、取り返しのつかない事態を招いてしまうことにもなりかねません。
特に最初の内は現物取引だけ行うようにしましょう。
倒産リスクに対する対処法
倒産リスクに対する対処法は、そもそも業績の悪い企業の株を持ち続けないことです。つまり、株価変動リスクに対する対処を適切に行っていれば倒産リスクもある程度軽減することが可能です。
また、上場企業の場合四季報やインターネットの公開情報で企業業績を確認することができるので、倒産が予想される企業の銘柄はある程度見極めることが可能です。
倒産リスクは投資先を東証一部上場企業に絞り込むことである程度回避できる
株式投資では東証一部や二部、マザーズの他名古屋証券取引所や福岡証券取引所に上場している企業の銘柄を購入することも可能です。
倒産リスクを減らしたいのであれば、この内東証一部上場企業にのみ投資をするようにすれば、ある程度倒産リスクを軽減することができます(もちろん、万全ではありません)。
マザーズなど新興企業が上場する市場では、業績の良かった企業がいつの間にか倒産していた、ということもままあります。それと比べると東証一部では厳しい上場基準をクリアした企業しかいないため倒産リスクは低くなります。
流動性リスクに対する対処法
流動性リスクに対する対処法は、投資先銘柄を決める段階で一定以上の取引量が安定してあるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
また、最初の段階で取引量が少なめな銘柄に投資をすると決めた場合には取引量が少ない時に成行注文をすると思いのほか高い株価での購入となってしまったり、低い株価での売却となってしまったりする可能性があることを理解しておく必要があります。
まとめ
株式投資には大きく株価変動リスクと倒産リスク、流動性リスクがありますが、この内一番大切なのは株価変動リスクに適切に対処することだと言えます。株価変動リスクに対処することができれば倒産リスクや上場廃止リスク、元本割リスクを軽減することができるからです。
まずは今回の内容をしっかり理解して対処法を確立し、後は実戦を積みながら少しずつ改良を重ねていくと良いでしょう。