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9割の人が損する?株式投資

株式投資はうまくいかない!?実は9割の人が損をしている

損

一説では個人投資家の9割が損していると言われる株式投資ですが、9割かどうかはともかくとして負ける個人投資家が多いことは事実です。そこで、株式投資で個人投資家が劣性に立たされる現状と理由を探ってみました。

草野球の選手がプロ野球の試合に出たとしたら?

プロのレベルとは?

仮定の話ですが、草野球の選手がいきなりプロ野球の試合に出たらどうなるでしょうか?

ピッチャーならストライクが入らず1アウトも取れずに降板までヒットと四球で失点を続け、バッターなら三球三振の連続で挙句の果てに守備でケガをするのがオチです。
これは誰もが容易に想像できることですが、株式投資となると何故か初心者がいきなりデイトレードに挑戦して勝てそうな気がしますから不思議です。確かにネット証券に口座開設しお金を入金すれば、誰にも文句を言われることなくデイトレードに挑戦できます。

しかしながら、最初から悲惨な結果になることは見えていますが、何故その様な当たり前の結果を想像できない人が多いのでしょうか?
現在、東京市場の売買代金の6割~7割は外国人投資家で残りの2割程は国内機関投資家と証券会社ディーラーです。つまり、市場参加者の8割~9割はプロの投資家です。

従って、1割~2割の個人投資家もプロのレベルかプロのレベルに近い投資家しか生き残れない世界で、初心者がデイトレードでデビューするのは草野球の選手がプロ野球の試合にいきなり出るのと同じです。

本当に9割の個人投資家が負けているのか?

但し、「個人投資家の9割が損している」という話は少し誇大広告気味です。そもそも、株式投資に於ける個人投資家の損益についての正確なデータも調査もありません。金融機関が行ったアンケート調査などはありますが正確なデータとは言えません。

その様な状況の中で「個人投資家の9割が損している」という話が独り歩きしていますがこれはオーバーな表現で、アフィリエイト広告のセールストークの一部と考えられます。

1つの根拠として2016年6月現在の日銀資金循環統計によりますと個人の現預金は920兆円で証券は258兆となっていますが、四半期のそれぞれの増減については現預金の+10兆円に対して証券は-1兆円に過ぎません。また、個人金融資産全体では四半期で11兆円増えていますので、現預金から証券に大きく資金が流れた訳ではない上に証券の損失が増えた兆候は読み取れません。また、この傾向は過去1年間変わっていません。しかも、1年前の日経平均株価は今よりも上の水準でしたから、直近の2ヶ月を除けば相場は良い相場ではありませんでした。
従って、この間に個人金融資産の証券が大きく減っていないということは個人投資家が大きく損を出してはいないことになり、少なくとも9割が損失を出したということは有り得ません。

自分の戦略を持った個人投資家は少ない

敵である外国人投資家の投資戦略を知ることがスタート

個人投資家が勝てないもう1つの要因は投資戦略の欠如です。勿論、個人投資家の中にも独自の戦略を持った投資家もいますが、殆どの個人投資家は独自の戦略を持たず常に総論的に相場に対峙しています。一方、特に、外国人投資家は独自の戦略で東京市場に臨んでいます。そこで、最近、東京市場で活躍する外国人投資家の内訳と主な投資戦略を探ってみました。

① 政府系ファンド

オイルマネー・中国マネー・ロシアマネーなどに代表され、各国政府の資金で運用されるファンドでバイ&ホールドの長期投資が中心。

② 年金基金

欧米の様々な年金基金(米カリフォルニア州公的年金基金カルパースは米国最大で総資産は円換算で26兆円以上)が東京市場で売買しており、こちらもバイ&ホールドの長期投資が中心。(日本の年金積立金管理運用独立行政法人GPIFの運用資産は132兆円で世界最大の年金基金)

③ ヘッジファンド

ジョージ・ソロスに代表される私募ファンドで株式に限らず為替・原油などあらゆる金融商品や商品先物市場を対象にロング・ショート・アービトラージを駆使して絶対収益を追求する。

④ HFT

自動判断で自動発注機能を有するコンピューターを使って超高速・超高頻度で売買を行
うシステムのことをハイ・フリーケンシー・トレーディングHFTと呼ぶ。 現在、HFT
の売買高は先物市場では全体の売買の6割・現物市場でも3割~4割に達する日もある
とのことで、個人が証券会社を経由する通常の取引より100倍速いと言われている。

⑤ CTA

ヘッジファンドの一種で金融工学に基づいたプログラムによって、ロボットが24時間
体制で売買するファンドを意味する。
上記の様に外国人投資家には様々な外国人投資家がおり、それぞれの資金ニーズに基づいたユニークな投資戦略で秒単位の超短期から5年~10年の長期投資までの運用を行っています。

個人のプロ・セミプロ投資家の投資戦略

勿論、個人投資家の中にも、しっかりした投資戦略で運用している投資家も少なくありません。例えば、業績とチャートとテクニカル指標の3つが一定の条件に達した銘柄のみを中長期で買う戦略や、分足チャートのみの形状で売買する超短期戦略、出来高のみに着目した短期戦略などです。

また、逆張りに徹した個人投資家も少なくありません。例えば、今年の2月や6月の様な年に数回のセリングクライマックスでしか買わない投資家も存在します。更に、ロング(買い)は行わずショート(空売り)専門の「売り屋」や、IPO銘柄の公募株だけに投資する個人投資家もいます。
これらの個人投資家は最初から現在の投資戦略で売買していた訳ではなく、試行錯誤を繰り返した結果、現在の戦略にたどり着いたのです。

空売りもアービトラージも使えるようになること

売りから入るショート(空売り)

投資戦略の選択肢を広げる上でショート(空売り)とアービトラージ(裁定取引)は有効です。例えば、1990年から2003年の東京市場に於いてはショート(空売り)専門の「売り屋」が大儲けしました。一般的に、ショート(空売り)は投機的なイメージがありますが、それは使い方次第です。現在の信用取引のレバレッジは約3倍で100万円の保証金で300万円まで売買できますが、レバレッジを引き下げることでリスクを抑えることができます。

両建てのアービトラージ(裁定取引)

また、アービトラージ(裁定取引)はロング(買い)やショート(空売り)よりも低リスクの投資戦略です。もともと、アービトラージ(裁定取引)は売りと買いを同額で両建てする取引ですから、予想に反し相場が急騰・急落した場合も大きなロスが出難い取引です。
特に、ペアトレードやスタティスカル・アービトラージと呼ばれる戦略は、よく使われています。例えばトヨタとホンダなどの同業種で一方が買われた時にもう一方買う取引を何度も繰り返す取引や、割安な一方を買い割高な一方に空売りを仕掛けサヤを取る取引などが用いられています。

まとめ

個人投資家が損をしないための様々な投資戦略について述べてきましたが、株式デビューの投資家にとっては1つ1つ経験していくしかありません。
最初は長期投資中心から始め、徐々に投資期間を短くし数年後にデイトレードを始めるのが一般的です。その後、その他の戦略を経験し自身に最適な投資戦略にたどり着くことができます。そうなればセミプロ投資家と呼ばれる域に達したことになります。

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