株式投資で稼ぐ基本は、株価が安い時に買って、株価の高い時に売ることですが、株価の上がる理由について明確に理由できる人は意外と少ないのではないでしょうか。
今回は、株価が上がる理由と、株価上昇が企業と投資家にもたらすメリットについてお伝えします。
株価は人気があるから上がる
簡単に言うと、株価はその銘柄の人気があると上がります。それでは、人気のある銘柄とはどのような銘柄でしょうか。
業績が上昇している企業
業績が上昇すればその企業の株式の時価も上昇し、株式の価値が高まることで人気が集まり、株価の上昇につながります。
また、上場会社は一定期間毎に業績の予想を発表しますが、当初の発表より見通しを上昇修正した場合には人気が集まり、株価の上昇につながります。
復配・増配をする
配当金を出すか出さないかは企業によって異なりますが、今まで出していなかった企業が今年から配当金を出す、と表明したり(これを復配と言います)、今まで配当金を出していた企業がその配当額を増やしたり(これを増配と言います)すると、株価上昇要因となります。
新商品の開発や製造が行われる場合
新商品の開発や製造が発表された場合、失敗するリスクもありますが売れて業績が上昇すれば株式の価値が高まるため、好感され人気が高まり、株価が上昇する要因となります。(新商品開発にネガティブな要素があれば株価が下がることもあります。)
株価が上がる理由は、実は1つだけ
さて、上記の項目で株価が上がる理由についてご説明しましたが、実際の相場ではその通りとならないことがよくあります。
- 業績発表の内容が良かったのに、株価が下がってきた。
- 見通しの上方修正が発表されたのに株価が上がらなかった。
- 業績にプラスとなりそうな商品がリリースされたのに株価が上がらなかった。
このようなことはよく起こります。
実は、株価が上がる理由は業績が良いからでも、新商品の内容が良いからでもありません。株価が上がるたった1つの理由は、その銘柄に買いが集まり、その勢いが売りを上回っているということです。
業績が良いからといって必ずしも株価が上がるわけではない
現在進行形で業績が良い企業の株を買ったところで、必ずしも株価が上がるわけではありません。
実際には上がるどころか下がってしまうことさえあります。こうした現象は、「業績が良い」ことが、すでに株価に織り込まれていることで原因です。
つまり、すでに多くの人に買われており、その株価に将来の上昇分まで織り込まれているか、もしくは買われすぎているとそこが天井となり、それ以上上昇しなかったり、逆に下落してしまったりすることになります。
割安でも必ずしも株価が上がるわけではない
上の説明では、業績が良くても株価が上がらない理由がすでに実体より割高である可能性があるからだ、としていますが、実際には業績が良くて割安でも必ずしも株価が上がるわけではありません。
これにはさまざまな原因が考えられますが、そもそも割安で放置されているのには何らかの理由がある可能性があります。それが、将来的な業界市場の不安など、見落としていたものかもしれませんし、単に他に魅力的な株があるために放置されている可能性もあります。
例え本当に割安でも、買いたいという人が集まらなければ株価が上がることはありません。
テクニカル指標の限界
何らかのテクニカル指標が買いのサインや売りのサインを示していても、そうならないことは良くあります。
これは、分かりやすいサインであればあるほど上級者はそれを織り込み、買いサイン時には売却することで利益確定をし、また初心者は買いサインを素直に読み取り買いサインで購入する、という投資家の習熟度の違いによる行動の違いでも説明できるでしょう。
当然、買いサインで買いが集まれば株価は上がりますが、上記の例で言うと投資初心者よりも投資額が多い上級者が株を売却することで、売りを買いが上回ることができず、株価が下がることが起こり得ます。
このように、株価上昇は業績の上昇といった要因ではなく、単に買いが売りを上回ることによって上がります。これは、株式投資をする上で常に意識しておきたいことです。
あらゆる情報を駆使して、「株価が上がる」と予想して買いの注文を入れたとしても、実際に下がっていたとしたらそれは情報が間違っていた、ということではなく単に買いが売りを下回ったということでしかありません。
株価が上がるメリットはどういったものなのでしょうか?
企業が株式を発行するのは、新しく商品を仕入れたり設備を導入したりするための資金を得ることが目的です。
資金を用意する方法としては自社の利益から支払う方法と、銀行から借り入れる方法、株式を発行して投資家から資金を募る方法などがあります。
自社の利益から支払う方法では、資金が足りない可能性があるため、銀行からの借入や株式発行という方法が選ばれることになります。
この内銀行から借り入れる方法では利息と元本を返済する必要がありますはが、株式を発行すればお金を返済する必要がありません。
こうした理由から、企業は株式を発行しますが、株価が高いと増資という形で新しく資金が欲しくなった時に高い株価で購入してもらうことができ、資金を調達しやすくなるというメリットがあります。
さらに、以下のようなことが株価が上がることによるメリットとして考えられます。
企業のイメージアップにつながる
株価が上昇することにより得られるメリットとして大きいのが企業のイメージがアップするということでしょう。
企業のイメージが良いと人材採用や資金調達などさまざまなことに良い影響を及ぼします。
株式を長く保有する安定株主が増えて、ちょっとした悪いニュース位では暴落することがなくなり、それがさらにイメージアップにつながるという好循環が生まれます。
株主から経営に対して文句を言われにくくなる
株価が上がれば、「株価を上げろ」といったことや「配当を増やせ」といったことを言われることが少なくなり、また株主からの支持が高くなれば先行投資が必要な新規事業に対しても了承を取り付けやすく、企業経営をする上でメリットとなります。
高い株価が買収防衛策になる
また、株価が高いと一定割合の株式を購入するための資金を用意することが難しくなり、敵対的買収に対する買収防衛策ともなります。
更に株価が高いと自社株の価値も高くなり、自社株交換方式での戦略的なM&Aを行うことも可能になります。
人に買収される可能性が出ることは、上場することのデメリットであり、また投資家からお金を募ってM&Aに活用できることは上昇することのメリットです。
株価を高くすることでデメリットを解消し、メリットをさらに高めることが可能になるのです。
まとめ
株価が上がる理由は、さまざまな要因が考えられますが、その実は「買いが売りより多い」という事実以外に有りません。株式投資で利益を得るためには、「買いが売りより多く」なるタイミングはいつだろう、と予想することが大切です。
また、株価が上がると企業が資金調達をしやすくなるばかりか、企業のイメージアップにつながり、それが企業にさまざまな良い影響を与えることになります。投資家にとっても株価が上がることは利益につながります。