日本人は金融リテラシーが低いと言われています。実際金融に関する教育は、欧米諸国と比べるとかなり遅れています。投資はギャンブルではなくあくまでも運用手段の一つです。投資と投機、ギャンブルの違いをまずは理解することが大切。株式投資に対する偏見を捨て、正しい知識を手にれましょう!
投資は「お金に働いてもらう」もの
株式投資のみならず、投資商品全般に対するマイナスイメージが日本人にはあります。金融について学ぶ機会が極端に少ないことが原因です。正しい知識を身に着け、投資を効果的に自分の人生に取り入れてみてはどうでしょうか。まずはギャンブル・投機・投資の違いを理解しましょう。
ギャンブル・投機・投資の違いを認識しよう
一般的には株式投資がギャンブルだという考え方も「無きにしもあらず」ですが、専門家の間では株式投資はギャンブルではないという考え方で一致しています。
但し、株式投資もやり方次第で投資が投機にも成り得ます。そこで、ギャンブル・投機・投資に対する考え方を以下に示します。
ギャンブルとは賭博のこと!お金を賭けて楽しむ「遊び」
ギャンブルとは賭博のこと。英語で賭博が「gambling」なので、そのままですね。広辞苑で賭博について引くと、賭博とは「金銭・品物を賭けて勝負を争う遊戯。かけごと。ばくち。博奕(ばくえき)」と出てきます。つまりギャンブルとは「遊び」なのです。
ギャンブルは「遊び」なので全財産を擦ることもある
知り合いの投資家に聞いたところ、ギャンブルは少なくとも50%以上の確率で元本がゼロになるか倍以上になるかの勝負を意味するのではないか? と言っていました。もちろん遊びですから、お金がなくなったらそれまで。補償も全くありません。場合によってはそれ以上のリスクとリターンを伴います。
丁半バクチも競馬も、パチンコもすべて「遊び」です
例えば、典型的な日本の博打である丁半博打の確率は50%ですし、ルーレットも赤か黒の場合の確率は50%です。勿論、競輪競馬の場合はリスクとリターンの確率がもっと高くなります。つまり、オッズ3倍の当選確率は33%を意味しますが、オッズ10倍の当選確率は10%となります。
以上の様に少なくとも50%以上の確率で元本がゼロになるリスクを背負う勝負をギャンブルと呼ぶのではないでしょうか。
遊び(ギャンブル)で全財産を擦っても楽しんだ結果なので仕方ない
パチンコはギャンブルではない、法律上、賭け事ではない、という意見もあります。ただパチンコは本来、『遊技機』ですから「遊び」であることは確かです。日本で許可されているお金をかけられる公営競技は、競馬・自転車競走(競輪)・小型自動車競走(オートレース)・競艇の4種類。すべて公的機関が賭博(ギャンブル)として提供する娯楽です。
その意味で日本では競輪、競馬、競艇、パチンコ等は全て「遊び」=ギャンブルで、海外ではカジノが代表的なギャンブルと言えます。お金が増えても、減っても、それは遊びの結果でしかありません。
投資とはお金を何かに交換して価値を増やす「経済活動」
「投資」はギャンブルと違って遊びではありません。こちらも広辞苑レベルの言葉の定義から入りますが、投資とは「利益を得る目的で、事業に資金を投下すること」です。
投資という言葉の定義に、遊び、遊戯、ばくちなどという単語は一つもありません。つまり投資は語義からもギャンブル(遊び)ではないのです。
お金が増えたり減ったりするのは同じですが「投資」は娯楽目的ではありません!
ギャンブルや投資は一体、何が違うのでしょうか? 最も大きな違いは、投資が「経済活動」で、ギャンブルが「娯楽(遊び)」であるということです。お金が増えたり減ったりするのは同じですが、目的が「お金を増やす」ことにあるのか、「楽しむ」ことにあるのか、が違います。
お金を増やす、減らす結果は同じでも、遊びと経済活動では行為の意味は全然違います
ギャンブルも「お金を増やす」ことを目指しますが、その過程を楽しむのが「遊び」たる所以です。投資も楽しむ人もいるでしょうが、基本的には経済活動です。楽しめなくても良いのです。遊びと違って楽しむことが目的なわけではないのですから。
現在の「資本」を「投じる」から投資!資本を増やすための経済活動
投資は経済活動ですから、生産や交換によって財貨を調達し、消費する行為です。投資の対象は多岐にわたりますが、ここでは株式投資で考えてみましょう。株式投資はお金を株式に変えて行います。そして交換した株式の金銭的な価値が上がれば、お金(資本)が増えます(あるいは減ります)。
要は「投資」とは私たちのお金(資本)を何かに交換してお金の価値を増やす経済行為なのです。株式にお金を投じれば(交換すれば)株式投資、不動産にお金を投じれば(交換すれば)不動産投資、というわけです。そしてごく稀にですが、ギャンブルにお金を投じることでお金を増やす投資家も存在します。
経済活動としてのギャンブル!実績で証明すれば社会的に「投資」として認められます
経済活動の一環として、ギャンブルを行う人、それは社会的に認められた希有な存在です。それは確率論の計算を元に資本家のようにお金(資本)を競馬に投じて数億円の利益をあげた人たちです。これは「外れ馬券経費」裁判で有名になりました。
その一人は高裁で「男性は6年間勝ち続け多額の利益を得ており、一連の馬券購入は経済活動の実態がある」とその実績を認められ、「外れ馬券の購入は経費」と認められるほどの利益をあげました。逆に言えばそれほどでなければ、競馬は「遊び」でしかありません。経済活動=投資とは認められないのです。
投機とはハイリスク&ハイリターンな投資!一か八かの賭け
投資が経済活動として社会的に認められる一方で、ネガティブに語られるのが「投機」です。字義を調べると投機は「損失の危険を冒しながら大きな利益をねらってする行為。やま」とあります。
つまり投資の中でもハイリスク&ハイリターンなもの、「万一の幸をねがってすること。やまごと。やまかん」が「投機」なのです。
投機は高いリスクを伴う経済活動!危険を覚悟で大きな利益を得る行為
戦術の投資家の一人は、投機について以下のように述べています。投機とは、そもそも、元本がゼロになる勝負だけを想定している訳ではありません。しかしながら、リスクとリターンのパフォーマンスは、少なくとも年率で30%~50%以上の高いパフォーマンスを目指している筈です。
例えば、オプション取引に於いては、プットの場合は元本がゼロになることも有り得ますが、コールに於いては見込みが外れても元本ゼロにはなりません。また、FXに於いては、バイナリーオプションは元本ゼロが有り得ますが、通常のロング・ショートでは元本ゼロを常に想定している訳ではありません(もちろん相場が急変した時は保証金が吹っ飛ぶことも有り得ますが)。
投機には「高いリスク」「短い時間」「大きな利益」という3つの特徴がある
投機に特徴的なのはリスクの大きさ、時間の短さ、そして大きな利益です。その意味で投資と投機の大きな違いは時間の概念だと言えます。短い時間で大きなリターンを得ようということから、投機はギャンブルに近いと考えられています。
例えば、典型的なギャンブルである丁半博打に要する時間は数秒ですし、ルーレットも数分・競輪競馬競艇も数分の勝負です。パチンコは少し長めですが、それでも数十分から1時間程度です。また、投機の場合はオプション取引・先物取引・FXの場合は2~3ヶ月どころか数時間、数分の短期決戦になる場合も少なくありません。長期運用を投機とは言わないのです。
従って、投機とは元本ゼロも想定しますが、ギャンブルのようにリスクを大きくとった経済活動と言えます。その意味で投機取引にはオプション取引・先物取引・FXなども含まれると考えられます。
投資と投機の違いはリスクコントロール!継続性もポイント
投資と投機の大きな違いはリスクに対する考え方です。投資は経済活動ですから、ある一定のリスクを取りつつ、それを上回る利益をあげるのが目的です。リスクの前に破綻してしまえば、それは経済活動ではありません。
投資はリスクを最小化し資本を増やし続けるところに特徴がある
投機は破綻のリスクを恐れず賭けるところに特徴があります。しかし、投資の場合はリスクは計算に裏付けられて管理されています。大きなリスクをできるだけ取らず、活動を続けるところに投資の特徴があります。
株式投資に限らず投資家は長い目で資本を増やしていこうとしています。一時的に損をしたとしても、経済活動として投資を続け、資本を増やし続けようとするのです。それこそが投資家です。
短期間でも投資はリスクをコントロールしている
そのため時間に関するスパンも投機よりずっと長くなります。例えば、半年・1年・3年・5年などです。勿論、株式投資に於いてもスキャルピングトレードやデイトレードの様な短期トレードもありますが、むしろ、それらの短期トレードは資金を寝かせないためリスクが限定されると考えられます。違うリスクを管理するために敢えて行う経済活動ということです。
投資は資本の成長を願う!投資家は社会的な役割を担っている
投資の2つ目の違いは成長に対する期待が込められていることです。例えば、個人投資家の何割かはバイ&ホールドで保有する銘柄の成長を願っている投資家も少なくありませんし、年金基金などの物言う株主は保有する銘柄の成長のために株主提案をすることもあります。
一方でギャンブルにその様な要素は皆無ですし、投機に於いてもFXで円売・ドル買いした場合にドルの成長を願って買った投資家は、まず、いない筈です。これらのポイントを考慮するとギャンブル・投機・投資の違いは自ずと見えて来るのではないでしょうか。
その行為が社会的にギャンブルになるか経済活動になるかは投資家本人次第
ギャンブル・投機・投資の違いについて述べてきましたが、投資家自身の考え方によって投資が投機やギャンブルになる場合もあります。例えば、信用取引で現物株を担保に同一銘柄を目一杯信用買いする様な取引は投資ではなく投機です。
従って、投資家自身が投資と投機とギャンブルの違いを認識して行動することが、何よりも大事です。投資家自身の心構え次第で、投資は投機にも、ギャンブルにもなるのです。
株式投資は怖くない!資産形成のメリットを考えよう
相手に何かを伝えるときには、物事のメリットとデメリットを伝える必要があります。しかし、株式投資に限っては、デメリットの部分ばかりが伝えられているのが現状です。ここでは最後に、株式投資のメリットについて軽く解説しておきます。
株式投資にはもちろんリスクがある!でもリスクはコントロールできる
自分で一から株投資を勉強し始めようとしている人は、ネットでの不正確な情報や否定的な意見を見聞きし、根拠のない偏見や誤解に惑わされ、戸惑うこともあるかもしれません。しかし、デメリットの部分だけを信じていては、投資に対してのイメージは一向に払拭できません。
もちろん株式投資にリスクがあるのは周知の事実です。しかし、リスクを最小限にコントロールするからこそ、株式投資は経済活動なのです。リスクは投資家自身の手で、きちんとコントロールできます。
リスクが不安だからこそ正確な認識が大切!実践的に株式投資を学ぼう!
まったく投資経験のない方にとって、株式投資は始めて接する未知の物事です。その姿を正しく捉えることは難しく、正確なもの、不正確なものを含め、これまで接してきた情報を元に、それぞれの中でイメージを作り上げてしまうということが発生します。しかし投資はあくまで経済活動。株式投資もやり方次第です
「投資」は善でも悪ではなく、労働と同じ一種の「経済活動」であり、働き過ぎて体を壊しては意味が無いように、やり方によって良い結果にも悪い結果にもなります。投資をしたことのない方は、失敗しても被害が少ない少額の投資から、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
「投資」という活動がもたらす「効用」と「危険性」を理解して使えるようになれば、人生の選択肢が増えるはずです。
本気で株式投資をしたいと考えている方は、「投資」に対する正しい知識を取り入れ、自分で経験をしてみることで、そのイメージは大きく変わるのではないでしょうか。