株を始めるには余裕資金が必要!でも「余裕資金」って何?
株式投資は余裕資金で行う方が良いことは殆どの人が認識している筈です。
余裕資金とは、生活資金以外の余裕がある資金のこと。つまり、余裕資金とは、リスクを負っても諦められる、気持ちに余裕のあるお金ということです。このお金がなくなったら生活に支障がでてしまう、というお金は株にまわすには向いていないお金です。
使い道が決まっているお金は株に回すのはNG!と言われてるけど将来のお金は?
生活費を株の投資に使う、という人はほとんどいないと思います。でも例えば、リスクにさらされていてもよく、生活資金として困らない、というお金でも、2ヶ月後に必要なお金だ、と決まっている場合は使わない方がよいでしょう。
一方で将来の結婚費用やマイホームを立てる際の頭金、老後のための費用として若い内から貯めているお金はどうでしょうか? ゼロになったら困りますが、何十年と貯め込んでいても将来本当に使うかどうかはわかりません。
これらのお金は余裕資金と言わないでしょうか?
余裕資金の定義は人によって様々! 知りたいのは株式投資に回してOKなお金の額!
逆に1ヶ月以上は使わないお金を一律に、当面必要の無いお金=余裕資金と考えている人もいます。つまり人によって、余裕資金の定義は様々です。
余裕資金の定義、どれも正解と言えますが、私たちがここで知りたいのは、具体的に株式投資に回せるお金の額、株に回してOKなお金、という意味での括弧付きの《余裕資金》の決め方と具体的な計算方法です。
具体的にどんなお金が株式投資に回せる(括弧付きの)《余裕資金》なのでしょうか?
生活費以外の全てのお金が《余裕資金》!株に回してOK!
先に結論から述べます。私が定義する《余裕資金》とは「当面の生活費以外の全てのお金」です。文字通り、私は「当面の生活費以外の全てのお金」を株に回してOKなお金=投資で使える《余裕資金》と考えています。
当面の生活費以外のすべてのお金は《余裕資金》として株式投資に回せる
一般に言われている「余裕資金」の定義と比べて、私が考える《余裕資金》の定義は、異論も多く、乱暴かも知れません。しかし、株式投資の実践者である私はこう考えています。
そして実際に私は「当面の生活費以外の全てのお金」を《余裕資金》としてすべて株式投資に回しています。そしてほとんど何も心配していません。
なぜ当面の生活費以外のすべてのお金を株に回しても大丈夫だと言えるのか?
この話をすると、以下のような疑問がすぐに浮かびます。
- 当面の生活費以外の全てのお金を危険な株式投資に回して大丈夫なのか?
- 全財産を失うリスクをなぜ敢えて推奨するのか?
- 生活防衛資金の大切さについてわかってないのではないか?
すべてわかっています。でも、大丈夫です。預けてた銀行が潰れたり、東日本大震災クラスの天変地異が起きない限り、そしてそういう大事が起きても基本的には大丈夫です。
なぜか? 株式はすぐにお金に換えられる資本だからです。
株式はすぐにお金に換えられる!だから安心!でも株式投資はすべて自己責任!
株式は株式市場が開いている限り、基本的にはすぐにお金に換えられる流動性の強い資本です。もちろん時間帯の制限や、土日祝日が休みだったり、現金ほど扱いやすくはありません。
また世の中には何が起こるかわかりません。その意味で、すべて自己責任でお願いします。これはあくまでも参考意見です。
以降は私の考え方に基づき、なぜ「当面の生活費以外の全てのお金」を《余裕資金》として株に回してOKなのか、そして、一般的な意味での「余裕資金」と、株式投資における《余裕資金》の考え方の違いについても解説していきます。
《余裕資金》株に回してOKなお金の定義とは?
まずは余裕資金の定義をハッキリさせる必要があります。株式投資を始める初心者は《余裕資金(=株に回してOKなお金)》をどう捉えればいいのでしょうか?
一般的な「余裕資金」とは「資産」から「生活防衛資金」を差し引いたもの
一般的に言われている余裕資金とは長期間使用する予定の無いお金や、当面の生活費に充当しないお金を意味します。また、投資で損失が出ても生活に困らないお金や、将来の資産形成のために生活費とは別立てにしている資金、を意味します。
一般的には資産から「生活防衛資金」を差し引いたお金=余裕資金と捉えられています。
家計における「生活防衛資金」とは、収入がまったく断たれたときに自分や扶養家族が一定期間、同様の生活を続けることを可能にする資金です。いざという時に活用する非常用のお金ですね。
家計的にいう「生活防衛資金」の計算方法:1ヶ月の生活費×6ヶ月
この「生活防衛資金」は家計的には1ヶ月の生活費×6ヶ月は必要と言われています。
「生活防衛資金」=1ヶ月の生活費×6ヶ月
このような方程式ですね。つまり、月収30万円の人であれば180万円が「生活防衛資金」となります。この考え方でいけば、資産から「生活防衛資金」の180万円を除いた金額が余裕資金と言える訳です。
でも一説には30代独身の方の4割が貯金ゼロといわれています。また貯金がある場合でも、中央値は250万円ほどといわれています。250万円-180万円=70万円しか残りません。
給料の6ヶ月分を差し引いた残りが「余裕資金」?この考えでは株は始められない!
「生活防衛資金」に手を付けず、完全に取っておくとなると、直近の生活費やクレジットカードの引き落としなどは、この残り70万円の中からやりくりしなければなりません。
でもこれは当面の生活費でしょう。これこそ手を付けられないお金です。
つまり家計的な「生活防衛資金」の考え方を元にすると、若くして余裕資金を確保するのはほぼ不可能なのです。そこで必要なのが発想の転換です。
株は換金性が高い!株式投資を始めるには逆転の発想が必要
株式投資の考え方は、普段は株式投資でお金を運用しておいて、いざというとき「生活防衛資金」に変換すればいい、という考え方です。お金を眠らせておくほど株式投資においてバカなことはありません。
逆転の発想!家計的な「生活防衛資金」⇒株式投資の《余裕資金》にできる!
実際には若くして、株式投資を始める方が多く居ます。その方達がみんなたくさんのお金を持っていたのでしょうか? いいえ。そうではありません。彼らは考え方を変えたのです。
何らかのきっかけで株式投資を始めた彼らは、株式投資はお金があればあるほど、有利なことに気付きます。
そして、実際に「生活防衛資金」として取っておいたお金を取り崩して株式投資に回す内に、「生活防衛資金」を確保しなくても大丈夫なことを経験的に学んだのです。
なぜなら、いざとなれば株式はすべて現金に還元して、「生活防衛資金」に変換できるからです!
いつもは株式投資でお金を回す!いざという時は株を《現金化》すれば良い!
もちろん「生活防衛資金」の金額は、収入や家族構成などで変わってきます。だがこの家計中心の考え方では若い人は株式投資にお金を回せません。株式投資は現預金から「生活防衛資金」を除いた余裕資金で行うことが前提とされるからです。
でも、こんな疑問が湧いてきませんか?
- そもそもそんなにお金に余裕がありますか?
- 「生活防衛資金」本当に6ヶ月分も必要ですか?
- 使わないお金を常に取っておく必要ってありますか?
- 停電したりインフラが破壊されたらリスクは同じじゃないですか?
株式は株式市場で売り払えばすぐに現金になります。換金性の高さは株式投資の大きなメリットです。
証券口座から出金手続きを取れば、翌営業日には指定の銀行に振り込まれます。日本の株式市場や銀行が回っている限り、株式の換金性は高く、電子マネー程度には安全です。
株式投資だけのリスクは少ない!生活防衛資金として眠らせておくのは大損!
株式投資にはリスクはあります。でも株式投資だけに起因するリスクってほんとうに少ないんです。
考えてみてください。銀行に預けていたとしても、インフラが大規模に破壊される震災や、台風による大規模停電などで、いざという時に電子化されたお金は使えません。何百万円もタンス預金するわけではないからです。
そう考えたら、現金や銀行も万能ではありません。家計的な「生活防衛資金」の考え方では株式投資は始められないのであれば、発想の転換が必要なのです。
《余裕資金》を計算!株に回せるお金を見極めよう
私が考える株式投資の《余裕資金》は投資者の環境によって二つのパターンに分けられます。まずは若い方です。
資産形成タイプの《余裕資金》:全資産-2ヶ月分の生活費=株に回せるお金
1つ目のタイプは資産形成タイプ、これから積極的にお金を増やそうとしている方です。若い方が対象となります。
- 投資を始めようとする若い方
- まだまだお金を稼ぐことができる方
- まとまったお金が必要となるライフイベント(結婚、教育費、マイホーム、老後資金等)が待っている方
これから自分が働くことでお金を稼げるので、積極的に投資しても安全弁があります。初めて投資の世界に入るので、伸びしろも大きいです。投資においては時間は味方するので、早ければ早いほど有利です。
またこれから長生きするので、その意味ではいくらお金があっても足りません。その意味で少しリスクを冒しても、積極的に資産運用する意味のある方と言えます。
毎月、給料が入ってくるので安心! 生活費を給料で回せば残りを株式投資に回せる
こういった若い方達の余裕資金は、貯蓄から当面の生活費に必要とされる資金を差し引いて余ったお金です。当面の生活に必要とされる資金の目安は、「月収の2ヶ月分」程度と考えます。
株に回せるお金=全資産-2ヶ月分の生活費
例えば、月収が30万円の方ですと、30×2=60万円です。貯蓄から60万を引いたお金が資産形成タイプが株に回せるお金、いわゆる《余裕資金》です。
2ヶ月分では少なすぎる!、と思う方もいるかもしれませんが、毎月、給料が入ってくるので大丈夫です。基本的に若い人は毎月の給料の範囲内で生活を回しているはずです。そのため、給料の2ヶ月分もあれば当面の生活で必要なお金は十分、確保できます。
そして何かまとまったお金が必要になった場合は、株式の一部を現金化すればいいのです。
株式投資でスッカラカンになるなんてことは、分散投資をし、安全な運用をしている限り、あり得ません。投資は投機ではないのです。
手元に現金、銀行に引き落とし分を確保!いざという時は現金化!無理せず運用!
銀行には家賃やクレジットカード代金の引き落としなどの代金として、1ヶ月分の引き落とし額+αのお金を入れておきます。引き落としに失敗すると面倒なので、少し余裕を持って銀行口座に入金しておくのがポイントです。
また本当の非常時、インフラが破壊され、銀行ATMや電子マネー、クレジットカードが使えなくなった時のために、手元にも10万円ほど現金を確保しておきましょう。1万円札は崩せない可能性があるので、1,000円札も多めに確保します。
このように本当の意味での当面の生活費を確保すれば、特別な支出がない限り、残りのお金は株式投資に回せます。
もちろん失業や大震災、サブプライム住宅ローン危機など、万が一のことが起これば、株式投資は手じまいにして、すべての資産を現金化します。
資金を用途で固定するのではなく、資産の塊として、フレキシブルに考えましょう。資金は逃げません。柔軟に運用すれば良いのです。
安全資産を除いたお金が《余裕資金》!分散投資がおすすめ
2つ目のタイプは資産運用タイプ。余剰資金が十分にあって、それを運用しつつ、権利収入で生活しようとしている方です。
資産活用タイプの方は、ライフイベントを乗り越えた方で、定年を数年後に控えた方や、すでに迎えた方達が当てはまります。労働収入が無い方、とも言えますね。毎月の給料をあてにできないため、より守りに徹した運用が必要です。
資産運用タイプの《余裕資金》:全資産-安全資産-2ヶ月分の生活費=株に回せるお金
余裕資金の算出方法は資産形成タイプと同じですが、資産運用タイプに属する方は安定的に権利収入が入ってくるように、より安全な資産を確保しておきます。つまり権利収入用の資産を除いたお金が《余裕資金》と言えます。
株に回せるお金=全資産-安全資産-2ヶ月分の生活費
安定資産がある方は、運用によって生活費をまかなうこと、そして現有資産を減らさないことを目標にします。そのため変動率の大きい株式投資に回せる《余裕資金》の目安は、現預金の20%ほどと考えられます。
労働収入が無くても生活できる!資産を維持するのが目標!
現預金が3,000万円とすると、3000万×20%=600万円となります。逆に3,000万円から600万円を引いた2,400万円は、より安全な資産に投資しましょう。守りに徹する上では分散投資が基本です。生活費もこの中から確保します。
株式投資を始めたいと思っている方の中には、「そんな条件の余裕資金なんて用意できない」と思う方もいるでしょう。しかし、それであるなら、労働収入を絶やしてはいけないのです。
この余裕資金の目安は、あくまで資産運用の世界において、リスクを考慮した時に算出される数字です。必ず守らなければならないということではありませんが、その分、本気で取り組みましょう。
株式投資は維持ではなく、攻めるための投資です。長期保有で投資するなら、株式投資よりもファンドや国債に投資した方が安全だからです。
株式投資は余裕資金で行うまとめ!命金には手をつけるな!
株式投資において、私が考える《余裕資金》は投資家に労働収入があるかないかで2つのパターンに分けられました。
- 資産形成タイプ…労働収入がある、安全資産がない、より若い、積極的な投資スタイル
- 資産運用タイプ…権利収入のみ、安全資産がある、より年輩、守備的な投資スタイル
最も大きな違いは労働収入があるかないか、安全資産があるかないか、です。年輩でも資産がなければ、資産形成タイプになります。頑張らなければ、権利収入で生きることはできないのです。
「命金には手をつけるな」という格言があります
一方で労働収入が無い人は、株価が下がり、生活に困ってしまうような資金を株式投資にあててはいけません。
そのためにも若い内から、リスクを多少甘受してでも株式投資を始めた方がイイでしょう。初心者の方は、万が一の時、「授業料として支払った」と思えるくらいの金額で始めるのがおすすめです。
株式投資はすべて自己責任です。自分の生活に合わせて、無理のない投資を始めましょう。