株式投資を行うと、配当金はいくらもらえるのでしょうか?
本記事では利回りの大きな銘柄を例に「株式投資における配当の仕組み」を解説します。
そもそも配当金とは?
株式投資における配当金とは、企業が事業を行って利益が出たとき、出資者に対して還元される利益のことです。
配当とは?
“配当とは、企業が株主に利益を分配することをいい、株主が保有する株数に比例して分配されます。
通常は決算時に分配されますが、特別大きな利益がある年や会社の記念の年には、特別配当、記念配当といったように通常の配当に上乗せ、または区別して分配されることがあります。配当は必ず行われるものではなく、赤字のときや企業の方針によって行われないこともあります。”
株式投資で、毎年配当金が受け取れるという訳ではありません。会社の業績が悪い場合には、配当金が0円ということもあります。
株主優待と配当金の違い
株式投資で得られる利益には、3つあります。
まず1つ目は株式を売った時に発生する利益、2つ目は株主優待、3つ目は配当金です。
そのうち株主優待と配当金は、株式を持っていれば受け取ることができるものですが、基本的に配当金は現金がもらえ、株主優待は商品券など、現金以外のものが分配されます。
なお、株主優待と配当金はどちらも、所有する株式の数で、受け取れる株主優待や配当金の額が決まります。
配当金が「保有する株式の数」に応じ、金額が変わるのに対して、株主優待は100~1,000株保有で「商品券1,000円」といった形で、企業が決めた条件に応じて分配の割合が異なります。
また株主優待は、1年以上保有しているなど保有年数に関する条件や決まりがあります。また業績が悪くなると、株主優待がなくなる場合もあり注意が必要です。
貰える配当金の計算方法
配当金の金額は、配当利回りを使って計算を行います。
配当利回りとは?
“株価に対する年間配当金の割合を示す指標。
一株当たりの年間配当金を、現在の株価で割って求める。たとえば、現在株価が1,000円で、配当金が年10円であった場合、配当利回りは1%(10円÷1,000円)となる。なお、投資をするときは、年間配当金の予想値で計算し、判断材料とする。 ”
出典元:証券用語解説集(野村證券)
配当利回りは、1年間で受け取れる配当金を株価で割ると算出できます。
ちなみに東証一部上場企業の配当利回りの平均値は2020年3月の段階で2.41%であり、平均利回りを基準に株式を購入する人も少なくありません。
しかし、利回りだけを基準に購入する株式を決めるのは危険です。
配当金額が大きな場合は問題ありませんが、株価が下がった場合にも利回りは高くなります。
株式投資で失敗をしないには、利回りだけでなく株価の上下など、複数の要素から分析し購入銘柄を選ぶことです。
配当金が大きな銘柄はどこ?
長期的に利益を狙い、株式投資を行う場合には、「配当利回り」を重視する人が多いです。
参考までに2020年、配当利回りが大きな銘柄を10社紹介します。
配当利回りが大きな銘柄(2020年7月15日時点)
社名 | 現在値 | 配当利回り |
---|---|---|
1883 東証1部 前田道路 |
2,002.0 | 37.46% |
6810 東証1部 マクセルホールディングス |
962.0 | 27.86% |
8103 東証1部 明和産業 |
459.0 | 12.20% |
3271 東証1部 THEグローバル社 |
217.0 | 11.52% |
7148 東証1部 FPG |
554.0 | 9.57% |
6464 東証1部 ツバキ・ナカシマ |
854.0 | 9.48% |
2411 東証JASDAQ(スタンダード) ゲンダイエージェンシー |
273.0 | 9.16% |
1764 東証2部 工藤建設 |
2,001.0 | 9.00% |
6032 東証1部 インターワークス |
341.0 | 8.80% |
7224 東証1部 新明和工業 |
1,034.0 | 8.41% |
上の表中、上位5社の利回りは10%を超えています。特に1位の前田道路は配当利回り「37.46%」と驚異的な数字です。
配当金の計算方法
先程の例を使って、配当金を計算してみましょう。1883 東証1部 前田道路の株価は2,002円でした。配当利回りは【一株当たりの年間配当金を、現在の株価で割る】と求められます。
配当利回りの計算方法
一株当たりの年間配当金 ÷ 現在の株価
前田道路の株を1,000株保有したとしたら【2,002,000円】なので、前田道路の利回り「37.46%」を掛けると配当金は【749,949円】になりますね。
株価と配当額が異なる企業を比較する際、利回りを基準とすることは良いことです。
しかし、既に解説をしたように、株価が下がったにも関わらず、配当金が変わらないことで利回りが高くなっているとケースもあります。
この場合、すぐに影響は出ないものの、株価の下落によって将来的に配当が下がる可能性があります。
失敗しないためには、配当性向をチェックし長く高い配当金がもらえる銘柄を選ぶことです。配当性向とは、企業が決めている配当目安です。
配当性向とは?
“配当性向とは、その期の純利益(税引後利益)の中から、配当金をどのくらい支払っているかをパーセンテージで表したものです。配当性向は投資を行う際に企業を評価する指標のひとつです。
計算式は、以下のようになります。
配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100 ”
例えば「配当性向が30%」と表示されている場合、これは「企業が利益の3割を配当とする」ことを示しています。
過去、配当性向を明示していない企業も多かったのですが、近年は配当性向を明示する企業が増えてきており、投資基準として活用されています。
また、銘柄選びでは増配が順調に行われているかもチェックしておきましょう。増配とは、配当が増えていることを指し「増配=業績が良い」ことの証です。
なお、連続増配を行う企業は着実に業績を上げているだけでなく、株主に対しても還元することを表しています。
こうした指標も、株式購入・銘柄選びの参考にしてください。
なお、連続増配していた企業が突然増配しなくなった場合、業績が悪くなり始めていることが多く注意が必要です。増配がストップしたら、少し様子を見て株式を売却を検討しましょう。
配当金が貰えるのはいつ?
配当金は基本的に年に1~2回、本決算と中決算のタイミングで受け取れます。ただし、株式を保有する株主全員が配当金を受け取れる訳ではありません。
決算日の3営業日前を権利付き最終日、2営業日前を権利落ち日と言い、配当金を受け取るには、権利付き最終日である決算日の3営業日前までに、株式を購入しておく必要があります。
ちなみに権利落ち日に株式を売却しても、配当は受け取れます。このような仕組みから、権利付き最終日に駆け込みで株式を購入し、権利落ち日に売却するという人も少なくありません。
ただ、権利付き最終日に株価が高騰し、権利落ち日になった途端に暴落するケースもあるので注意しましょう。
配当金の受け取り方には「登録配当金受領口座方式」「配当金受領証方式」「個別銘柄指定方式」の3種類があります。
保有する株式の配当金をまとめて、1つの銀行口座に振り込む登録配当金受領口座方式は最も簡単でおすすめの管理方です。
登録配当金受領口座方式とは?
保有するすべての株式等(他の証券会社で保有する株式等も含む)の配当金を、指定した銀行口座で一律に管理する方式のこと。
郵便局窓口にて配当金を受け取る配当金受領証方式、銘柄によって振り込む銀行口座が指定できる個別銘柄指定方式など。
口座管理の方法は、それぞれ特徴やメリットがあります。各証券会社で口座を開設した後は、資産や資金の管理・運用方法をチェックしましょう。
まとめ|株式投資の楽しみは配当金にあり!
今回は、株式投資と配当金の仕組みを解説しました。
株式投資の楽しさは株主優待だけに留まりません。利回りの大きな銘柄を持てば、いくら配当がもらえるのか「計算」をする楽しみが増えます。
あなたもぜひ、保有する銘柄の利回りや配当金を計算してみてください。