株価は需要と供給の法則で決まり、人気がない銘柄の株価は下がる
株価はその株を買いたいと言う人が多ければ上がり、その株を売りたいという人が多ければ下がります。
「その株を売りたいという人が多い」銘柄とは、人気がない銘柄だと言えますが、その要因としては以下のようなものがあります。
会社の業績不振
株価は、会社の業績が良ければ上がり、悪ければ下がります。
とはいえ、単に業績が悪ければ株価が下がるとは言えません。会社の業績は会社の決算発表や中間発表、四半期発表で知ることができますが、この時の発表が「市場の予想より悪かった」場合に株価が下がる可能性が高くなります。
単に発表内容が悪くても、その事がすでに知らされているか、もしくは予想されていた時にはその業績不振はすでに株価に織り込まれている事があります。
これを知るためには、アナリスト等プロの意見を参考にするのも良いですが、できれば会社が決算発表をするまでの間に実際の株価がどう動いていたかを自分でチェックするようにしましょう。
株の決算持ち越しは要注意
決算を持ちこして株を保有する場合、内容の良い決算であっても株価が下がる可能性は高いと覚えておきましょう。単に「良い(予想通り)」決算発表では株価は下がる傾向にあり、「予想を裏切って良い」決算の場合でなければ決算後に株価が上がる可能性は低いと考えておきましょう。
権利落ち日にも気をつけよう
決算時にもう一つ気を付けておきたいのですが、配当金を実施している企業の場合、配当金を貰える権利付き最終日の翌営業日には配当金の額の分だけ株価が下がります。
配当金は、通常決算日前が権利確定日として設定されており、その3営業日前が権利付き最終日、その翌日が権利落ち日となります。
株主は、権利付き最終日までにその株式を保有していればその後売却しても配当金を受け取る権利は消失しないため、極端な話権利付き最終日に株式を保有できる日に購入しておき、その翌日に売却しても配当金を受け取れるのです。
こうした仕組みは株価に反映され、権利落ち日には通常配当金の分だけ株価が下落します。
なお、配当金や株主優待が豪華な企業の場合、権利付き最終日前には株価が高騰することがありますが、高騰した分だけ急落する可能性があることにも気を付けましょう。
将来の業績が見通しがイマイチ
現在の業績だけでなく、会社の業績見通しが悪いことは株価が下がる要因となります。
株価の基本は将来の業績予想ですが、その会社の来期の業績が不調だという予想であれば、株価は下がります。株価は将来の動きを織り込んで動くため、不調であるという予測が立てば、株価は下がります。
日経新聞などで業績が悪いなどのニュースが出るだけでも株価に大きく影響しますし、会社が独自に出す業績予想の内容よりも、景気の悪化や売上の不調などで、それまで出していた予想を下方修正すると、当然株価は下がります。
なお、業績予想の修正は、売上高10%以上の増減があった場合や、営業利益経常利益当期純利益30%以上の増減があった場合にしないとなりません。この規定は、各証券会社の上場規定に定められています。
会社の不祥事
会社の不祥事が発表された時も、株価は下がります。
不祥事の中でも、特にその会社に悪意がある場合や、将来に渡って影響を与えるような内容であれば株価の下落幅は大きくなります。
三菱自動車の不祥事
最近では、三菱自動車の「ekワゴン」と「ekスペース」の燃費を5%~10%良く見せるよう、軽自動車の型式認証取得において燃費試験に使うデータに対して不正を行っていることが発表されました。
今回の事件は世間に大きく取り上げられましたが、実は三菱自動車の不祥事は今回に始まったことではありません。2000年に内部告発という形で発覚した三菱のリコール隠し事件は、1977年からおよそ23年間に渡り10車種以上、約70万台にのぼるリコールにつながる不具合情報を運輸省(現在の国土交通省)に報告せず社内で隠ぺいしていたというものです。
今回の燃費不正問題では、過去の不祥事から信頼が回復しかけていたところ、同様の事件が再発し、三菱自動車の将来性が危ぶまれる内容のものだと市場から判断されたのか、事件後には2日連続のストップ安。前日には900円近くあった株価が400円近くまで下がる大暴落となりました。
無配減配
配当をしないことを無配。今まで出していた配当金の額を減らすことを減配と呼びますが、無配や減配は株価低下につながります。
それまで出ていた配当が無くなったり金額が減ったりすると、魅力を感じなくなって株を売る人もいるでしょうし、また、業績が不安視され売られて株価が下がります。
余談ですが人気のある株主優待を行っている企業が優待を取りやめた場合も、優待目当てで株を保有していた人が続々と売り、株価が下落することもあります。
為替レートの変化
輸出企業や輸入企業の場合、為替レートの変化により株価が増減します。
輸出企業では円高になると商品の価格が上がり売上が落ちることで、輸入企業では円安になると仕入れにお金がかかることで株価の低下につながります。
日本ではトヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど自動車会社全般、円高になると海外での販売が難しくなり業績悪化につながる可能性があります。
倒産
会社が倒産すると会社の株はほぼ無価値になります。
また、その会社が所属している企業グループの株価も大きく押し下げることになります。
例えば、かつてあった大手証券会社の山一證券が破たんした時には、山一證券が所属していた芙蓉グループ各社の株も売られて下落しました。また、同じセクターの株、つまり同業他社の株価も影響を受けて下落することがあります。
投資先の会社が倒産したらどうなる?
会社が倒産してもすぐにその株式が売買できなくなったり、無効になったりするわけではありません。しかし、倒産してしまうとその銘柄には売り注文が殺到し、大幅に値下がりすることになります。
株価が下落していく中で、一時的な買いが入り株価が上昇することもありますが、それは投機的な取引の対象となっているだけなので、基本的にはできるだけ早く売却してしまうのが良いでしょう。
なお、会社が倒産した場合、その株は整理ポストに移されますが、1カ月間売買が行われたのちに上場廃止となってしまい、その後は売買することすらできなくなるので注意が必要です。
まとめ
今回は、株価を下げる主な要因を6つ挙げました。
もちろん、これ以外にも株価を下げる要因となるものはありますし、今回挙げた6つは個別企業に因るところが多く、ミクロ的な要因と言えます。業界全体の不祥事や世の中の流れも含めて、マクロ的な視点が株価に与える影響もしっかり考慮するようにしましょう。