西本Wismettac株のIPO戦略
同社の幹事証券会社及び幹事会社上位の証券会社は公平抽選比率が10%の会社が並びますが、同社公募株に対する人気が下火であることから公募株抽選に当選するチャンスはあると言えます。
西本Wismettacの総合評価
①初値の期待度 | C |
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②当選しやすさ | B |
③セカンダリー投資に適しているか | B |
④総合評価(利益を出しやすいか) | C |
評価の理由
- 東証1部上場大型IPOの割には話題性が乏しく初値の期待度は平均か平均以下と考えられます。
- 公募株に対する人気は下火で当選するチャンスが考えられます。
- 初値が高騰しなければ中長期投資で買える場面もありそうです。
- 大損が無い代わりに大化けも望み薄の銘柄と言えます。
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西本Wismettac株のビジネス展望
コード | 9260 |
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業種 | 卸売業 |
上場市場 | 東証1部or2部・100株単位 |
上場予定日 | 9月29日(金) |
主幹事証券 | 野村證券㈱ |
監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ |
同社は食材の輸出入や三国間貿易を行う企業ですが、明治時代に創業した老舗企業でベンチャー企業が多いIPO マーケットでは特異な存在と言えます。もともと、企業間のBtoBが主体であるため一般的な知名度は低い企業ですが、同社の日本食ブラン「Shirakiku」は海外では有名ブランドです。
売上高構成比で67.0%(2016年12月期)を占めるアジア食グローバル事業は日本食・アジア食品・食材の輸入・三国間貿易・食品開発を行っています。また、アジア食グローバル事業では商品の開発・企画・仕入れから輸入通関・在庫管理・配送・販売に至るまでのバリューチェーンに関わるオペレーションを世界各国で一貫して手掛けていることも特筆されます。売上高構成比で31.1%の農水産商社事業はフルーツや野菜・加工品など青果物全般を外食や食品スーパーに卸売りしており、2つの事業の取り扱いアイテムは2017年末時点で8,400と多岐に渡っています。
同社ビジネスの強みは北米の23拠点を中心に積極的に世界各国で事業展開を行っている事です。また、大正10年に商標登録をしたプライベートブランド「Shirakiku」は、今日においても有数の日本食ブランドとして認知されており北米で広く親しまれています。
更に、同社は北米全支店で150台超のトラックを保有するなど自社物流機能を有しており自社管理倉庫で冷凍・冷蔵・常温の三温度帯管理を行っています。
同社の今後の成長課題としては北米エリアでのシェア拡大・グルテンフリーやハラル対応・農水産商社事業の拡大などが上げらます。
西本Wismettacの株価予想
同社の仮条件価格4,500~5,250円を今2017年12月期予想EPS258円で計算しますと、予想PERは17.4倍~20.3倍で妥当な水準です。また、仮条件価格5,250円としますと、想定時価総額753.0億円・吸収金額223.4億円とかなりの大型案件で事業内容も人気化する要素は少ないと考えられます。
類似企業との比較は以下の通りです。(予想PERは9/15終値ベース)
伊藤忠食品(2692) 予想PER19.3倍
三菱食品(7451) 予想PER14.4倍
トーホー(8142) 予想PER 25.7倍
加藤産業(9869) 予想PER 20.2倍
上記の通り仮条件上限価格の予想PERは比較的業態が近い4社と比較してリーズナブルな水準と言えますが、同社のビジネスモデルは高成長イメージも描きづらいこともあり人気化は想定しづらい状況で穏健な初値動向となりそうです。
業績
今2017年12月期の連結予想数字は増収予想ですが、経常利益は前期比8.9%減の63億と減益予想です。物流部門の強化を目的とした人員増強の影響で減益となる見込みですが、北米でのM&Aの効果で売上高は増える見込みです。また、農水産商社事業ではトロピカルの大幅な原価高騰で収益力が低下しています。
需給
東証1部への上場が確実視され想定時価総額753億円・吸収金額223億円の大型案件で、しかも、明治時代に創業した老舗企業でベンチャー企業主体のIPO市場では高成長イメージも描きづらく人気化は想定しづらい状況です。
只、ベンチャーキャピタルの保有が無い中で、東証1部への上場で機関投資家など新興市場への上場案件とは違った投資家の参戦があるかもしれません。
成長性
ビジネスモデルに問題はありませんが大きな成長は期待し難い業態です。
リスク
前期決算では株主資本が負債を上回っておりビジネスモデルも安定していることから、アジア情勢などの地政学的リスク以外に大きなリスクは考えられません。
従って、初値予想は仮条件上限価格5,250円に対して、5,250〜5,700円(仮条件の上限比±0%~+8.6%)と考えられます。
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西本Wismettac株の基本情報
会社概要
本社所在地 | 兵庫県神戸市中央区磯辺通四丁目1番38号 |
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創業 | 1947年9月30日 |
代表取締役社長 | 金井孝行 |
資本金 | 100百万円 |
連結売上高 | 169,434百万円(2017年12月期予想) |
事業内容 | 海外における日本食・アジア食品・食材の輸入及び卸売、日本における青果物全般等の輸入卸売販売 |
社員数 | 1611人 |
沿革
- 1912年 「西本商店」として神戸市で創業
- 1921年 商標登録した日本食プライベートブランド「Shirakiku」登場
- 1947年 西本貿易㈱設立
- 1950年代 米国産品の買付並びに日本食品の販売拠点としてロサンゼルスに現法設立
- 1968年 サンキスト社の日本総代理店として米国産レモン・オレンジ拡販。順次支店網をハワイ・ニューヨーク・サンフランシスコに開設
- 2000年 上海駐在員事務所開設
- 2011年 シンガポール現地法人設立
- 2013年 パリ駐在員事務所開設
- 2015年 西本貿易HD㈱の商号を現社名に変更
西本Wismettacビジネスのポイント
- 明治時代に創業した食材の輸出入や三国間貿易を行う老舗企業であること
- 北米の23拠点を中心に積極的に世界各国で事業展開を行っていること
- 日本食ブランド「Shirakiku」を持っていること
同社は一貫して食材・食品の国際流通業をその主たる事業としてきましたが、現在では取扱う商材も水産品・農産品を中心に生鮮商材から極低温冷凍商材までの多温度帯商加工原料用から業務用・小売用に到るまで幅広い用途仕様で流通させる機能を備えています。
また、日本食材を含むアジア系食材の流通において需要家・生産者の長い信頼があります。
更に、食材・食品国際流通事業における特徴として、その活動がほぼ全大陸をカバーしていることと国際的な中間流通業としては特殊な商社/製造部門と販売/分荷配送卸部門の二つを持っていることが特筆されます。
現在、同社グループの3つの中核となる事業会社は以下の通りです。
西本貿易
日本食・エスニックフードの輸出とアメニティフーズの企画・開発・販売
Wismettacフーズ
輸入青果で圧倒的な存在感を示す
Wismettac Asian Foods
北米に23拠点を設け米国とカナダでの日本食・エスニックフード卸売業
西本Wismettac株の業績推移とポイント
業績数字推移(連結ベース)
2015/12 | 前2016/12 | 今2017/12(予想) | |
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売上高(百万円) | 158,254 | 158,338(+0.05%) | 169,434(+7.0%) |
経常利益(百万円) | 7,250 | 6,922((-4.5%) | 6,306(-8.9%) |
当期純利益(百万円) | 4,509 | 2,847(-36.9%) | 3,349(+17.6%) |
純資産額 (百万円) | 37,131 | 38,979 | N/A |
1株あたりの純資産額(円) | 2,972 | 3,120 | N/A |
1株あたりの純利益(円) | 361 | 228 | 258 |
1株あたりの配当(円) | 2 | 2 | N/A |
自己資本比率(%) | 61.2 | 53.8 | N/A |
自己資本利益率(%) | 12.9 | 7.5 | N/A |
(2014年12月期まで単独決算、2015年12月期から連結決算)
業績数字のポイント
同社の業績数字のポイントは今2017年12月期の連結予想数字の売上は1,694億円と+7.0%の増収予想ですが、経常利益は前期比8.9%減の63億と減益予想となっています。
従って、来2018年12月期の連結予想数字の増収増益トレンドを確認したいところです。
西本Wismettac株のIPO情報の要点
IPO(新規上場)スケジュール
仮条件決定日 | 9/11 (月) |
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ブックビルディング期間 | 9/12 (火)~9/19 (火) |
公募価格決定日 | 9/20 (水 |
購入申込期間 | 9/21 (木)~9/26 (火) |
上場予定日 | 9/29 (金) |
IPO公募・売出し株式情報
公募株式数 | 3,700,000株(公募1,850,000株 / 売出1,850,000株) |
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オーバーアロットメント分 | 555,000株 |
発行済株数 | 14,343,240株 (上場時、公募株数含む) |
OR | 29.7% |
想定価格 | 5,250円 |
仮条件価格 | 4,500~5,250円 (変動率-14.3%~0.0% 中立 ) |
公募価格 | 未決定 |
IPOの資金用途 | 設備資金・運転資金・借入金の返済資金 |
(オーバーアロットメント分とは当初の予想を超える需要があった場合、追加的に投資家に販売することです。また、オファリングレシオは発行済株式数のどの程度を市場に放出するかを示す比率を意味します)
株主構成とロックアップ状況
氏名 | 株数(株) | 割合(%) | ロックアップ |
---|---|---|---|
多津巳産業㈱ | 8,085,740 | 61.19 | 90日 |
洲崎良朗 | 2,910,000 | 22.02 | 90日 |
洲崎福祉財団 | 1,300,000 | 9.84 | 90日 |
西本WismettacHD㈱ | 720,000 | 5.45 | |
金井孝行 | 140,000 | 1.06 | 90日 |
清水正之 | 42,500 | 0.32 | 90日 |
堀川大輔 | 15,000 | 0.11 |
(多津巳産業㈱は洲崎氏の資産管理会社)
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