三菱地所物流リート投資法人株のIPO戦略
同投資法人の幹事証券会社の公平抽選比率はいずれも10%と予想され高くはありませんが、
一般のIPO銘柄と比べると倍率は低調に推移すると考えられます。従って、抽選で公募株をゲットするのは難しいことではありません。
三菱地所物流リート投資法人の総合評価
①初値の期待度 | E |
---|---|
②当選しやすさ | A |
③セカンダリー投資に適しているか | C |
④総合評価(利益を出しやすいか) | D |
評価の理由
- 昨年8月上場の三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の公募価格に対する初値の上昇率が+0.5%だった様に、リートの上場では初値の大きな上昇は期待できません。
- 過去の初値の上昇率が低いため、逆に公募株の抽選倍率は低くなっています。
- 巡航分配金利回りは4.19%が見込めますから、セカンダリーや長期ホールドに適しています。
- 初値の期待度が低いため全体的な利益の出し易さの評価は低くなります。
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三菱地所物流リート投資法人株のビジネス展望
コード | 3481 |
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業種 | 物流系(ロジスティクス系)リート |
上場市場 | 東R・1株単位 |
上場予定日 | 9月14日(木) |
主幹事証券 | SMBC日興証券㈱ |
監査法人 | 新日本有限責任監査法人 |
同投資法人は物流施設を主な投資対象とする上場不動産投資法人として、日本最大級の総合デベロッパーである三菱地所㈱と2001年の設立以来豊富な不動産ファンドの運用実績 がある不動産アセットマネージャーである三菱地所投資顧問㈱の強みを活用し質の高いポートフォリオの構築と着実かつ安定的な資産運用を目指しています。
特に、「立地」「建物特性」「安定性」に着眼してテナントニーズを捉えた競争力の高い物流 施設への厳選投資を通じ投資主価値の最大化を目指しています。
また、同投資法人は三菱地所グループが手掛けるオフィス特化型の上場リート「ジャパンリアルエステ イト投資法人」と非上場私募リート「日本オープンエンド不動産投資法人」に次ぐ3本目の投資法人となり内外の期待を集めています。
この様に同投資法人は東京・丸の内をはじめとする「まちづくり」によって得た120年の信頼がある「三菱地所グループ」の総合力を活かし、物流施設を主な投資対象として運用する物流REITです。また、資産運用会社は豊富な不動産ファンドの運用実績を有する不動産アセットマネージャーである三菱地所投資顧問で、JCRから「AA-」の格付を取得しており日銀のREIT買入れの対象になります。三菱地所投資顧問は2001年に設立され、日本最大級の私募REITをはじめとする様々な不動産ファンドの組成・運用実績があります。
2011年3月にオープンエンド型非上場私募不動産投資法人である日本オープンエンド不動産投資法人の運用を開始し、2017年には国内私募REITとしては初めて資産規模3,000億円を達成し、2017年3月末現在の受託資産残高は累計5,764億円を誇ります。
リートとは?
リート・REIT(Real Estate Investment Trust)とは不動産投資信託の略称で、投資家から集めた資金で不動産に投資し賃貸や売却などによって得られた利益を投資家に分配する仕組です。リートIPOと個別銘柄のIPOとの違いは基本的にリートの業態(ビジネスモデル)は同一ですから、個別銘柄の様に個々のビジネスモデルに大きな違いはありません。
従って、リートの収益は大半が投資先の不動産の賃料であり通常の銘柄に比べて業績が安定していますので、価格も通常のIPOに比べると上下に振れる幅が少なくローリスク・ローリターンと言えます。
また、売買単位は1株単位で公募のみで売出しはなくベンチャーキャピタルは存在しません。更に、個別銘柄のIPOと比べると吸収規模が大きいため、過去の傾向では公募価格と初値のブレが少ない事が特徴と言えます。
三菱地所物流リート投資法人の株価予想
同投資法人の想定価格は250,000円で仮条件価格250,000~260,000円と類似投資法人の三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の公募価格 270,000円と比較して妥当な水準と考えられます。両投資法人の平均利回りを比較しますと三菱地所物流リート投資法人4.9%に対して、昨年8月上場の三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)は5.0%と大きな差は見られません。また、三菱地所物流リート投資法人の巡航分配金利回りは4.19%・NAV倍率は1.24倍・セイムボート出資率(三菱地所グループによる出資比率)は約3.9%です。(NAV倍率はリートの価格が保有不動産の正味の価値に比べて何倍かを示す指標で株式のPBRに相当する)
三菱地所物流リート投資法人 | 三井不動産ロジスティクスパーク投資法人 | |
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想定価格 | 250,000円 | 250,000円 |
公募価格 | N/A | 270,000円 |
初値 | N/A | 271,400円(+1,400円+0.5%) |
上場来高値 | N/A | 344,500円(2017/2/3) |
上場時吸収金額 | 515億円 | 600億円 |
平均利回り | 4.90% | 5.00% |
上記の通り三菱地所物流リート投資法人は三井不動産ロジスティクスパーク投資法人を比較しますと内容的に遜色ありません。特に、三菱地所物流リート投資法人のポートフォリオの80%以上を物流施設で占め50%以上を首都圏の物件でカバーしていることから、景気の見通しは良好で物流施設の稼働率も高止まりが期待されます。
只、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人が上場した昨年夏のリート指数は上向きでしたが、現在のリート指数は下がり気味と割り引いて考える必要があります。
仮に初値が振るわなかったとしても持ち続けるという選択肢も出てきますし、業績が安定していることからセカンダリー投資も考えられます。先の、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人も初値形成後に値を上げています。
業績
業績数字は開示されていません。
需給
吸収金額 515億円と一般銘柄のIPOと比べると大き目ですが、ベンチャーキャピタルや大株主の売却もないことから特に問題はありません。また、100%公募で売出がゼロというのも需給においては好感される要素となります。
成長性
同投資法人のポートフォリオは80%以上を物流施設で占め50%以上を首都圏の物件でカバーしていることから、2020年に向けての成長性が期待されます。
リスク
同投資法人のスポンサーは三菱地所㈱で運用は三菱地所投資顧問㈱ですから、三菱地所㈱のコーポレートリスクが同投資法人のリスクとなります。
従って、同投資法人の初値予想は仮条件価格が250,000~260,000円に決まったことから、
260,000円~265,000円前後に落ち着くと考えられます。
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三菱地所物流リート投資法人株の基本情報
会社概要
本社所在地 | 東京都千代田区丸の内二丁目 5 番 1 号 |
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創業 | 2016年7月14日 |
代表取締役社長 | 執行役員 坂川正樹 |
資本金 | |
連結売上高 | |
事業内容 | |
社員数 |
沿革
三菱地所物流リート投資法人ビジネスのポイント
- 三菱地所物流リート投資法人のスポンサーは三菱地所㈱であること
- 運用は不動産ファンドの運用実績NO.1の三菱地所投資顧問㈱が行うこと
- 長期安定的なポートフォリオの構築を目指していること
三菱地所物流リート投資法人は「立地」「建物特性」「安定性」に着眼しテナントニーズを捉えた競争力の高い物流施設への厳選投資を通じ、長期安定的なポートフォリオの構築を目指しています。特に、床荷重1.5t/㎡・梁下天井有効高5.5m以上・柱スパン10m以上等といったテナントニーズを捉えた汎用性の高い仕様を備えた最新型物流施設の開発・運営ノウハウを有する三菱地所がスポンサー契約に基づいてサポートし、不動産ファンドの運用実績がある三菱地所投資顧問㈱が運用している点が特筆されます。
また、マーケットや環境変化に合わせて三菱地所㈱のCRE戦略や共同事業等の開発戦略を活用し、三菱地所㈱の総合デベロッパーとして培った豊富な法人顧客リレーションを活かしたリーシング力・物流施設開発などの運営ノウハウを活用します。
三菱地所物流リート投資法人株の業績推移とポイント
業績数字推移(連結ベース)
上場時ポートフォリオの概要
同投資法人の取得(予定)資産は8物件(うち取得済資産1物件)・取得(予定)価格合計は708億円・不動産鑑定評価額は737億円・延床面積合計は約51万㎡・スポンサー開発比率と三菱地所投資顧問㈱ソーシング比率は36%となっています。
「三菱地所投資顧問㈱ソーシング」とは三菱地所投資顧問㈱が独自に物件情報を取得し、三菱地所物流リート投資法人による物件取得に繋がった物流施設等を意味します。
また、取得(予定)資産の平均稼働率は99.5%・8物件の平均鑑定利回りは4.9%です。
物件 | 取得価格(百万円) | 利回り% | 稼働率% |
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ロジクロス福岡久山 | 5,770 | 5.1 | 100 |
ロジポート相模原 | 21,364 | 4.6 | 99.5 |
ロジポート橋本 | 18,200 | 4.4 | 97.9 |
MJロジパーク厚木1 | 6,653 | 4.7 | 100 |
MJロジパーク船橋1(取得済資産) | 5,400 | 6.5 | 100 |
MJロジパーク加須1 | 1,272 | 5.7 | 100 |
MJロジパーク大阪1 | 6,090 | 5.1 | 100 |
MJロジパーク福岡1 | 6,130 | 5.2 | 100 |
合計 | 70,879 | 4.9 | 99.5 |
業績数字のポイント
巡航分配金利回りは4.19%・NAV倍率は1.24倍・セイムボート出資率(三菱地所グループによる出資比率)は約3.9%と安定しています。
三菱地所物流リート投資法人株のIPO情報の要点
IPO(新規上場)スケジュール
仮条件決定日 | 8/30 (水) |
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ブックビルディング期間 | 8/31 (木)~9/5 (火) |
公募価格決定日 | 9/6 (水) |
購入申込期間 | 9/7 (木)~9/12 (火) |
上場予定日 | 9/14 (木) |
IPO公募・売出し株式情報
公募株式数 | 198,000株(公募198,000株 / 売出0株) |
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オーバーアロットメント分 | 8,000株 |
発行済株数 | 206,000株 (上場時、公募株数含む) |
OR | 100.0% |
想定価格 | 250,000円 |
仮条件価格 | 250,000~260,000円 (変動率:0.0% ~+4.0% やや強気 ) |
公募価格 | 未決定 |
IPOの資金用途 | 当物件購入資金 |
(オーバーアロットメント分とは当初の予想を超える需要があった場合、追加的に投資家に販売することです。また、オファリングレシオは発行済株式数のどの程度を市場に放出するかを示す比率を意味します)
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